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この記事でわかること
- 崩れた資産配分を戻す「リバランス」の基本
- NISAで売却したときの非課税枠の扱い
- 売らずに比率を近づける積立配分の変更という選択肢
この記事の目次
オルカンと米国株の投資信託を毎月同じ金額ずつ積み立てていたら、いつの間にか片方だけが大きくなっていた。残高画面を見て「このままでいいのかな」と手が止まる場面です。
私も1年ほど積み立てたところで同じ状態になり、売って戻すべきか、そのまま続けるべきかで迷いました。調べていくうちに、迷いの正体は「リバランスの方法が売却しかないと思い込んでいたこと」だと分かりました。ここでは、その整理の過程をまとめます。
崩れた比率は、次に買う配分を変えるだけでも近づけられる
比率のずれを直す方法は、売却だけではありません。これから買う積立の金額配分を変えて、増えすぎていない方を多めに買っていく方法があります。一般に「ノーセルリバランス」と呼ばれます。
この方法なら売却が発生しないため、NISAの非課税枠を減らさずに済みますし、課税口座であれば売却益への課税も起きません。時間はかかりますが、積立を続けている人には現実的な選択肢です。
一方で、ずれがかなり大きくなっている場合は、積立配分の変更だけでは追いつかないこともあります。そのときに初めて、売却を含むリバランスを検討する順番になります。
リバランスとは、増えすぎた資産を減らして元の配分に戻すこと
リバランスとは、値動きによって崩れた資産の組み合わせ(資産配分)を、あらかじめ決めた割合に戻す作業のことです。
たとえば「株式50%・債券50%」と決めていたのに、株式が値上がりして60%・40%になったとします。この状態は、自分が想定していたより値動きの大きい組み合わせに変わっている、ということです。リバランスは、この「知らないうちにリスクが大きくなること」を防ぐための調整です。
年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、決めた割合からどれだけずれてよいかをあらかじめ数値で決めています。
| 資産 | 基本の割合 | 乖離許容幅 |
|---|---|---|
| 国内債券 | 25% | ±6% |
| 外国債券 | 25% | ±5% |
| 国内株式 | 25% | ±6% |
| 外国株式 | 25% | ±6% |
出典:GPIF「基本ポートフォリオの考え方」第5期中期目標期間・2025年4月から適用
注目したいのは、GPIFでさえ「1%でもずれたら直す」とはしていない点です。数%の幅を許容範囲として持ち、そこを超えたときに動く仕組みになっています。個人が毎月の残高を見て一喜一憂する必要はない、という考え方の参考になります。
なお、そもそも自分の目標配分を決めていない場合は、リバランス以前の話になります。全世界株と米国株の重なり方については、オルカンとS&P500は両方いる?重複と米国比率で解説しています。
NISAで売ると、その枠が使えるのは翌年から
ここがNISA特有の注意点です。NISA口座で保有している投資信託を売却すると、非課税枠は次のように扱われます。
1つ目は、年間投資枠(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=最大360万円)です。これは売却してもその年のうちには戻りません。売った分をその年に買い直すと、単純に年間枠を追加で消費することになります。
2つ目は、非課税保有限度額(総枠1,800万円)です。こちらは売却した商品の簿価(買ったときの金額)の分だけ枠が空き、翌年以降に再利用できます(2026年8月25日時点で金融庁NISA特設ウェブサイトを確認)。
つまり「売って買い直す」リバランスは、NISAでは年間枠を余分に使う行為になります。枠の復活の考え方は新NISAは売ると枠が復活する?戻る時期と注意点でも解説しています。
対処法を並べると、違いが見えやすくなります。
| 方法 | 何をするか | NISA枠への影響 | 検討しやすい場面 |
|---|---|---|---|
| 積立配分の変更 | これから買う金額の割合を変える | なし | ずれが小さいうち |
| 一部売却して買い直す | 増えた方を売り、減った方を買う | 年間枠を消費。簿価分の総枠復活は翌年 | ずれが大きいとき |
| 追加資金を投じる | 減っている方だけを買い増す | 年間枠を消費 | 余裕資金があるとき |
| 何もしない | そのまま積立を続ける | なし | 目標配分を決めていないとき |
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」・2026年8月25日確認
私のオルカンとS&P500、1年で比率が7ポイントずれていました
私は毎月3万円を、全世界株のインデックスファンドと米国株のインデックスファンドに1万5,000円ずつ積み立てていました。買っている金額は毎月ぴったり半分ずつです。
それでも1年経って残高を見たら、50対50のつもりが、米国株側が57%になっていました。買付額が同じでも、値動きの差で比率は変わっていく、という当たり前のことを画面で確認した瞬間でした。
このとき私が最初に考えたのは「米国株の方を7%分売る」でした。ただ、売却すると年間投資枠を余分に使うと知り、やめました。代わりに翌月から積立の配分を1万円と2万円に変え、全世界株を多めに買う設定に切り替えています。
数か月経つと差は少しずつ縮まりました。急いで直すより、買う側で調整するほうが自分には合っていたようです。
リバランスで損をしやすい3つのケース
リバランスは万能ではありません。むしろ、やり方によっては手元に残るお金が減ることもあります。
1つ目は、課税口座で売却して税金が発生するケースです。値上がりした分を売れば、その利益に約20%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計20.315%)の税金がかかります。比率を整えるために税金を先払いする形になります。
2つ目は、頻繁にやりすぎるケースです。売買のたびに手数料や信託財産留保額がかかる商品もあり、細かく直すほどコストが積み上がります。売却時にかかるコストの見方は投資信託の乗り換えは損する?確認したい3つのコストで解説しています。
3つ目は、値下がりした資産を「もう嫌だから」と外してしまうケースです。これはリバランスではなく、目標配分そのものの変更です。相場が下がった不安を理由に配分を変えると、リバランス本来の目的から離れてしまいます。
配分を変えるかどうか迷ったら、相場ではなく自分の目標配分を決めた理由に立ち返るのが確認しやすい順番です。
リバランス前に確認するチェックリスト
□ 自分の目標配分(例:全世界株50%・米国株50%)を書き出しているか
□ 現在の比率が目標から何ポイントずれているかを数えたか
□ 許容できるずれの幅(例:±5%)をあらかじめ決めているか
□ 売らずに積立配分の変更で近づけられないか検討したか
□ NISA口座で売る場合、その年の年間投資枠がいくら残っているか確認したか
□ 課税口座で売る場合、利益にかかる税金とコストを計算したか
□ 直したい理由が「配分のずれ」であって「相場が怖いから」ではないか
よくある質問
まとめ
積み立てを続けていれば、資産の比率は必ずずれていきます。ずれたこと自体は失敗ではなく、値動きの差が出ただけです。
大事なのは、直す手段が売却だけではないと知っておくことでした。NISAでは売っても年間投資枠は戻らず、総枠の復活も翌年からです。だからこそ、まず積立配分の変更で近づけられないかを見て、それでも足りないときに売却を検討する、という順番が枠を無駄にしにくい流れになります。
今日できる一歩は、自分の目標配分と現在の比率を紙に書き出して、何ポイントずれているかを数えてみることです。数字にすると、動くべきか待つべきかが見えやすくなります。
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一緒に少しずつ学んでいきましょう。
