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この記事でわかること
- オルカンとS&P500の中身の重なり
- 両方持ったときの米国比率の変化
- 2本持ちが向く人・向かない人の判断材料
この記事の目次
新NISAの積立設定を見ていて、「オルカンだけでいいのか不安になって、S&P500も足してみた」という人は多いと思います。両方積み立てれば、より広く分散できそうな気がしますよね。私も最初は同じことを考えました。でも、2つのファンドの中身を並べてみると、思っていたのとは少し違う景色が見えてきます。この記事では、両方持つと何がどう変わるのかを、公式の数字をもとに落ち着いて見ていきます。
両方積み立てても分散は増えず、米国に寄っていく
先に大枠をお伝えします。オルカン(全世界株式)とS&P500を両方積み立てても、投資先の国や企業が新しく増えるわけではありません。むしろ、ポートフォリオ全体が今より米国へ一段寄っていく、という結果になりやすいです。
理由はシンプルで、オルカンの中身にはすでに米国株がたくさん入っているからです。そこへ米国100%のS&P500を重ねると、重複している部分がさらに厚くなります。「分散を足したつもりが、集中を足していた」という状態になりやすいのです。
オルカンの中身は、すでに6割が米国株
まず、それぞれのファンドが何を持っているのかを確認します。ここを押さえると、重複の話がすっと理解できます。
オルカンは「全世界株式」という名前のとおり、先進国から新興国まで幅広い国の株式に投資します。ただし時価総額(企業の規模)に応じて組み入れるため、大きな企業が多い米国の比率が自然と高くなります。
| 項目 | オルカン(全世界株式) | S&P500 |
|---|---|---|
| 投資対象 | 約47か国・約2,600銘柄 | 米国の主要500社 |
| 米国株の比率 | 約62% | 100% |
| 上位の組入銘柄 | アップル・エヌビディア等 | ほぼ同じ顔ぶれ |
| 新興国株 | 約1割を含む | 含まない |
出典:三菱UFJアセットマネジメント 月次レポート・2026年4月末時点で公式資料を確認
表のとおり、オルカンの米国比率はすでに約62%あります。上位の組入銘柄も、アップルやエヌビディアといった顔ぶれがS&P500とほとんど重なります。報道でも、上位10銘柄のうち9銘柄が共通しているとされています。
「2本持ち=分散」と感じてしまう理由
ではなぜ、両方持つと分散が増えそうに感じるのでしょうか。ここが初心者のいちばん迷いやすいところだと思います。
名前の印象が大きいです。「全世界」と「米国」と聞くと、まったく別々の場所に投資しているように思えます。ですが実際の中身は、片方がもう片方を大きく含んでいる入れ子のような関係です。別々の箱に見えて、中の商品はかなりダブっている、というイメージが近いかもしれません。
具体的な数字で見てみます。オルカンとS&P500を半分ずつ(50:50)持ったとすると、ポートフォリオ全体の米国比率は約81%まで高まります。一方で、オルカンにしか入っていない新興国株は、全体で見ると約6%程度まで薄まります。新しい分散先が加わるのではなく、米国の比重が増える方向に動くわけです。
上位10銘柄のうち9つが同じ顔ぶれでした
私も「両方積み立てたほうが安心では」と思って、実際にオルカンの月次レポートとS&P500の構成銘柄を並べてみたことがあります。
上から順に見ていくと、アップル、エヌビディア、マイクロソフト……と、ほとんど同じ会社が続いていました。順番が少し違うだけで、顔ぶれはそっくりです。「別のファンドを足したのに、持っている会社は変わっていない」という感覚は、実際に並べてみて初めて腹落ちしました。
だからといって、2本持ちが間違いというわけではありません。次のセクションで、注意点と「向いている場合」を整理します。
両方持つ前に知っておきたい3つの注意点
2本持ちには、事前に知っておきたい点がいくつかあります。デメリットというより「思っていた効果と違うかもしれない」というズレの話です。
1つ目は、分散が広がるとは限らないことです。前述のとおり、両方持っても投資先の国や企業はほとんど増えず、米国の比重が高まる方向に動きます。
2つ目は、管理が少し複雑になることです。2本に分けると、それぞれの積立額やリバランス(配分の調整)を自分で意識する必要が出てきます。1本なら「時価総額どおり」に自動で調整されますが、2本持ちは自分で割合を決め続けることになります。
3つ目は、コストの確認です。どちらを選ぶにしても、信託報酬(保有中ずっとかかる手数料)は必ず見比べたい項目です。手数料の考え方は信託報酬とは?投資信託の隠れコストを整理で解説しています。
なお、両方持つかどうかは、自分がどのくらいの値動きを受け入れられるかとも関わります。投資額の考え方はリスク許容度とは?自分に合う投資額の決め方で解説しています。
買う前に確認したいチェックリスト
2本持ちを検討するときに、手を動かして確認したい項目をまとめました。
- □ オルカンの月次レポートで、現在の米国比率を確認したか
- □ 両方の上位組入銘柄が重なっていることを見たか
- □ 50:50などの配分で、全体の米国比率がどうなるか計算したか
- □ それぞれの信託報酬(年率)を見比べたか
- □ 「分散を増やしたい」のか「米国比率を上げたい」のか、目的を言葉にできるか
- □ 2本を自分で配分調整し続けられそうか
よくある質問
目的が決まれば、2本持ちも選ぶる
オルカンとS&P500の2本持ちは、「分散を足す」のではなく「米国に寄せる」選択だ、というのがこの記事の要点でした。中身が大きく重なっているぶん、両方持っても投資先はほとんど増えず、米国比率が高まる方向に動きます。
大事なのは、正解を探すことよりも、自分の目的をはっきりさせることだと思います。世界全体の成長を受け取りたいのか、米国に多めに賭けたいのか。そこが決まれば、1本でいくのか2本にするのかは自然と選びやすくなります。
はじめての口座選びで迷っている方は、SBI証券と楽天証券どっち?新NISAで後悔しない選び方もあわせてどうぞ。
