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この記事でわかること
- 課税口座で乗り換えたときの税率と計算式
- 税額を左右する取得費(平均取得単価)の考え方
- NISA口座で乗り換える場合の枠と損失の扱い
この記事の目次
- ▸ 税金の金額を出してから、乗り換えるか決める
- ▸ 課税口座は売却益の20.315%、NISA口座は税金ゼロ
- ▸ 税率の内訳と計算式
- ▸ 税額を決めるのは取得費(平均取得単価)
- ▸ 乗り換えは「売却」と「買付」の2つの注文に分かれる
- ▸ 平均取得単価を見たら、含み益は思ったより小さかった
- ▸ 注意点|NISAの乗り換えは税金ゼロでも枠を使う
- ▸ 乗り換え前に確認したい6項目
- ▸ よくある質問
- ▸ Q. 乗り換えのときだけ税金が安くなる制度はありますか?
- ▸ Q. 確定申告は必要ですか?
- ▸ Q. NISA口座の中で乗り換えても税金はかかりませんか?
- ▸ Q. 含み損のまま乗り換えたほうが税金面で有利ですか?
- ▸ Q. 手数料は税金の計算に入りますか?
- ▸ まとめ|数字を出せば、乗り換えは比較の問題になる
税金の金額を出してから、乗り換えるか決める
信託報酬の低いファンドを見つけて乗り換えたい。でも、いま持っている分を売ったら税金がどれくらい引かれるのかがわからず、売却画面の手前で止まってしまう。私も最初はここで止まりました。
税金は「いくら増えたか」で決まるので、実は注文前に自分で計算できます。金額が見えてしまえば、乗り換えるかどうかは比較の問題になります。この記事では、その計算のしかたと、口座の種類で変わる部分を確認していきます。
課税口座は売却益の20.315%、NISA口座は税金ゼロ
乗り換えでかかる税金は、口座の種類で分かれます。
特定口座や一般口座(課税口座)で乗り換える場合は、売って利益が出ていれば、その利益に20.315%の税金がかかります。逆に、売却時点で損失なら税金は発生しません。
NISA口座の中で売る場合は、売却益に税金がかかりません。ただし税金の代わりに「枠」の問題が出てきます。詳しくは後半で触れます。
つまり、含み益が小さいうちは税金も小さくなります。「いま売ると税金が怖い」と感じたときは、まず含み益の金額を確認するのが早い方法です。
税率の内訳と計算式
課税口座の売却益にかかる税率の中身は、次のとおりです。
| 項目 | 税率 | 内容 |
|---|---|---|
| 所得税 | 15% | 上場株式等の譲渡益に対する税率 |
| 復興特別所得税 | 0.315% | 所得税額の2.1%分 |
| 住民税 | 5% | 地方税 |
| 合計 | 20.315% | 譲渡益に対してかかる |
出典:国税庁「株式・配当・利子と税」・2026年9月25日に公式サイトを確認
計算の順番は2段階です。
1つ目は、利益を出す計算です。売却価額から、取得費と手数料などを引いた残りが譲渡益になります。
2つ目は、税額を出す計算です。その譲渡益に20.315%をかけた金額が税金です。
たとえば、積立で60万円を投資して評価額が75万円になったファンドを全部売った場合、譲渡益は15万円、税金は15万円×20.315%で約30,472円です。手元に残るのは約72万円で、これが次のファンドに回せる金額になります。
この「引かれてから再投資する」という順番は、長く持つ前提の積立では見落としやすい部分です。
税額を決めるのは取得費(平均取得単価)
同じファンドを積立で何回も買っている場合、税金の計算に使う取得費は、買った回ごとの価格ではありません。
国税庁は、同一銘柄を2回以上買って一部を売ったときの取得費について、総平均法に準ずる方法で1単位あたりの金額を求めると説明しています。取得金額の合計を、保有数量の合計で割った平均単価を使う考え方です(国税庁「No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」・2026年9月25日に公式サイトを確認)。
積立をしていると、高いときに買った分と安いときに買った分が混ざります。その平均が取得費になるので、直近の基準価額だけを見て「かなり増えた」と判断すると、税額の見積もりがずれます。
証券会社の口座画面では「取得単価」「平均取得価額」といった名前で表示されています。乗り換えを考えたら、まずここを見るのが確実です。
乗り換えは「売却」と「買付」の2つの注文に分かれる
乗り換えという言葉から1回の注文で入れ替わるイメージを持ちやすいのですが、ネット証券では別々の注文になります。
楽天証券は取引ガイドの取引ルールで「当社では他のファンドへのスイッチング注文は承っておりません」と案内しています(2026年9月25日に公式サイトを確認)。SBI証券の売却注文では、金額を指定する場合の注文可能額が評価額から5%差し引いた金額で表示され、すべて売るときは全額を選ぶ形になっています(2026年9月25日に公式サイトを確認)。
売却と買付は別の注文なので、売った代金がすぐ次のファンドの買付に使えるとは限りません。注文から約定・受渡までの流れは投資信託の買い方・売り方|注文から受渡までの流れで解説しています。
平均取得単価を見たら、含み益は思ったより小さかった
私も、信託報酬の差が気になって乗り換えを検討したことがあります。評価額の画面だけを見ていたときは「けっこう増えているから税金も大きいだろう」と思い込んでいました。
実際に取得単価の欄を開いてみると、積立を始めた時期が高値圏だったこともあり、平均単価は直近の基準価額にかなり近い水準でした。含み益は数万円で、計算すると税金は千円台。昼休みに電卓を叩いて、拍子抜けしたのを覚えています。
反対に、長く持って含み益が大きく育っている場合は、税額もそれなりの金額になります。どちらなのかは口座画面を見ないと決まらないので、一般論で不安になるより先に自分の数字を確認したほうが早い、というのが私の実感です。
なお、口座の入口や順番の選び方で最初のコストが変わる部分もあります。SBI証券での始め方はSBI証券で新NISAを始める完全ガイドで解説しています。
注意点|NISAの乗り換えは税金ゼロでも枠を使う
NISA口座は売却益が非課税ですが、乗り換えに関しては別の制約があります。
1つ目は、枠の消費です。金融庁は、商品を売却した場合、翌年以降に売却した商品の簿価(買ったときの金額)の分だけ非課税投資枠が復活して再利用できると説明しています(2026年9月25日に公式サイトを確認)。売ってすぐ同じ枠が空くわけではないので、同じ年に買い直すと年間投資枠を追加で使います。
2つ目は、損失の扱いです。国税庁は、非課税口座で取得した上場株式等の売却で生じた損失はないものとみなされ、特定口座や一般口座の譲渡益との損益通算(利益と損失を相殺して税金を減らす計算)や繰越控除はできないと説明しています(2026年9月25日に公式サイトを確認)。含み損のまま乗り換えても、税金面で取り戻せる仕組みはありません。
3つ目は、売却時に引かれるコストです。ファンドによっては信託財産留保額(解約する人が負担する費用で、売却時に基準価額から差し引かれるもの)がかかります。
課税口座では、逆に損失が出ている状態での売却が損益通算の対象になります。源泉徴収ありの特定口座なら売却時に税金が差し引かれ、確定申告を省略する選択もできます。口座の設定は特定口座の源泉徴収あり・なしどっち?後から変えられる?で解説しています。
乗り換え前に確認したい6項目
□ その資産を持っているのは課税口座かNISA口座か
□ 口座画面の平均取得単価と評価額(含み益か含み損か)
□ 含み益×20.315%で出した税額の概算
□ 税引き後に再投資できる金額と、乗り換え先のコスト差
□ 売却時に信託財産留保額がかかるファンドかどうか
□ 売却代金が使えるようになる受渡日
よくある質問
税金の金額そのものより「いつ動かすか」で迷っているときは、投資信託の乗り換えはいつ?タイミングの決め方3つで解説しています。
まとめ|数字を出せば、乗り換えは比較の問題になる
乗り換えでかかる税金は、課税口座なら「含み益×20.315%」で概算できます。計算のもとになる取得費は買った回ごとの価格ではなく平均取得単価なので、口座画面の数字を見ないと見積もりがずれます。
NISA口座では税金がかからない代わりに、売却分の枠が使えるのは翌年以降で、損失は損益通算の対象になりません。どちらの口座で持っているかによって、確認する場所が変わります。
次の一歩は、乗り換え先を探す前に自分の口座で平均取得単価と含み益を見ることです。金額が出れば、コスト差と天秤にかけられます。乗り換え先の選び方は投資信託の乗り換え先はどう選ぶ?中身の重複に注意、口座そのものの始め方はSBI証券で新NISAを始める完全ガイドで解説しています。
一緒に少しずつ学んでいきましょう。
この記事は、新NISAでつみたてを実践中の運営者 sakama が、2026年9月25日時点で金融庁・証券会社の公式情報を確認して作成しています(運営者情報・編集方針)。
