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この記事でわかること
- バランスファンドが「いらない」と言われる3つの理由
- 株式100%との値動きの幅の差(年率リスク15.95%と9.54%)
- 自分がどちらに向くかを決める順番
この記事の目次
積立の設定画面を開いたまま、「オルカン1本でいいのか、それとも債券も入ったバランスファンドにすべきか」で手が止まった経験はないでしょうか。私も同じところで一週間ほど迷いました。
ネットで検索すると「バランスファンドはいらない」という意見と「初心者はまずバランス型から」という意見が、どちらも同じくらい強い言葉で出てきます。どちらが正しいかというより、何を基準に決めればいいのかが分からないまま時間だけが過ぎていきます。
判断を分けるのは「値動きにどこまで耐えられるか」
結論から言うと、コストや理屈で比べるかぎりバランスファンドは不利になりやすく、それでも選ぶ理由があるとすれば「値動きが小さいほうが積立を続けられる」という一点です。
金融庁のNISA特設サイトに掲載された座談会でも、投資ブロガーの虫とり小僧さんが「初心者かベテランか、ではなく、その人にとってどっちのほうが投資を継続しやすいのか」と話しています(金融庁「教えて虫とり先生」第8回)。理論上の正解と、自分が続けられる形は別物、という整理でした。
つまり、自分の値動きへの耐性を先に確かめないと、この比較はいつまでも決着しません。以下では、その耐性を測るための材料を順番に並べていきます。
バランスファンドの中身と、株式だけのファンドとの違い
バランスファンド(バランス型投資信託)とは、株式・債券・不動産(REIT)など性格の違う資産をあらかじめ決めた比率で組み合わせた投資信託のことです。1本買うだけで複数の資産に分散できます。
代表例のeMAXIS Slim バランス(8資産均等型)は、国内株式・先進国株式・新興国株式・国内債券・先進国債券・新興国債券・国内REIT・先進国REITの8つに、それぞれ12.5%ずつ投資する設計です(三菱UFJアセットマネジメント公式ページ・2026年9月19日時点で確認)。
株式だけのファンドと数字で比べると、性格の違いがはっきりします。
| 項目 | eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) | eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) |
|---|---|---|
| 中身 | 先進国・新興国の株式のみ | 株式・債券・REITを12.5%ずつ8資産 |
| 信託報酬(税込・年率) | 0.05775% | 0.143% |
| リスク=値動きの幅(年率・5年) | 15.95% | 9.54% |
| リターン(年率・5年) | 19.01% | 9.47% |
| 純資産総額 | 約13兆7,040億円 | 約5,406億円 |
出典:楽天証券ファンド詳細・2026年9月18日更新データ
表の「リスク」は危険度ではなく、値動きが平均からどれだけ散らばったかを示す数字です。数字が大きいほど上にも下にも振れ幅が大きくなります。5年の年率で見ると、8資産均等型の振れ幅はオルカンの約6割にとどまっていました。
一方で、同じ5年のリターンは年率19.01%と9.47%で、およそ2倍の差がついています。振れ幅を抑えた分だけ、伸びも抑えられたという関係です。
「信託報酬が高い」は本当か、0.143%の中身
バランスファンドが敬遠される最大の理由が、信託報酬(保有中ずっと差し引かれる運用管理費用)の高さです。実際、上の表では0.05775%と0.143%で2.5倍近い開きがあります。
ただし、絶対額で見ると印象は少し変わります。100万円を1年間持った場合の差は、(0.143% − 0.05775%)× 100万円 = 約852円です。20年間、平均残高300万円で持ち続けたとしても、差の累計はおよそ5万円という規模感になります。
金額で見れば「致命的ではないが、無視もできない」という位置づけです。
なお、バランスファンドの中には信託報酬が年0.5%〜1%を超えるものも多くあります。「バランス型は高い」という評判は、こうした高コスト商品を含めた話であることが多いため、比べるときは商品名まで特定して数字を見る必要があります。信託報酬そのものの考え方は信託報酬とは?投資信託の隠れコストを整理で解説しています。
自動リバランスの中身と、私が実際に感じた差
バランスファンドの実務的なメリットは、リバランスを自分でやらなくて済むことです。リバランスとは、値上がりして比率が膨らんだ資産を売り、値下がりした資産を買い増して、最初に決めた配分に戻す作業を指します。
金融庁の座談会でも、リバランスは「主目的はリスクコントロールだが、機械的に安値買いの高値売りを行うので、長い目で見るとパフォーマンスも良くなる傾向がある」と説明されていました。バランスファンドはこれをファンドの内部で自動的に行います。
私自身は、株式のインデックスファンド1本に毎月3万円を積み立てています。2026年の春先に基準価額が短期間で1割ほど下がったとき、アプリを1日に3回も開いてしまい、仕事中もずっと気になっていました。金額としては数万円の含み損でしたが、落ち着かなさのほうが問題だと感じました。
そのとき試しに、同じ期間の8資産均等型の値動きを並べて見てみたところ、下げ幅は目に見えて小さく、グラフの形そのものが穏やかでした。中身を確かめると、値下がりした株式の横で国内債券がほとんど動いていません。なだらかな値動きの正体は、伸びない資産を一定割合抱えていることでした。
値動きに動揺して積立をやめてしまうくらいなら、振れ幅の小さい商品で続けるほうが結果的に残る、という考え方には一定の合理性があります。含み損が出たときの考え方は積立投資で含み損が出たら?売る前の3つの視点にまとめています。
注意点・デメリット — 誤解しやすい4つのこと
バランスファンドを検討するとき、私が引っかかった点を挙げておきます。
1つ目は、配分を自分で変えられないことです。8資産均等型なら株式の比率は37.5%で固定され、年齢やライフステージが変わっても自動では調整されません。
2つ目は、値動きの理由が追いにくいことです。基準価額が下がったとき、株安なのか金利上昇による債券安なのか円高なのかが、1本の数字からは分かりません。慣れるまでは「なぜ下がったのか分からない」状態が続きます。
3つ目は、株式ファンドと併せ持つと配分が崩れることです。オルカンとバランスファンドを半分ずつ持つと、株式比率は約69%という中途半端な値になります。組み合わせるなら、合算後の比率を必ず計算しておきたいところです。
4つ目は、値動きを抑える方法はバランスファンド以外にもあることです。株式ファンドの積立額を減らして現金を厚くしても、資産全体の振れ幅は同じように下げられます。金融庁の座談会でも、まさにこの指摘が交わされていました。
繰り返しになりますが、コストと理屈だけを並べると株式100%が有利に見えます。それでもバランスファンドが選ばれるのは、続けやすさという別の軸があるからです。
決める前に確認したい7項目
- □ 検討しているバランスファンドの信託報酬を商品名で確認した(年0.2%を超えるか)
- □ 中身の資産配分と、株式が占める比率を確認した
- □ 過去5年の年率リスク(値動きの幅)を株式ファンドと比べた
- □ 自分の資産が1年で3割下がった場合の金額を計算してみた
- □ その金額で積立を続けられるか、生活への影響を考えた
- □ すでに持っている商品と合算した株式比率を計算した
- □ 現金比率を調整する方法でも同じ目的を達成できないか検討した
4番目と5番目が、この判断の核心です。金額に置き換えないまま「耐えられそう」と考えると、実際の下落局面で想定が外れやすくなります。自分の許容度の測り方はリスク許容度とは?自分に合う投資額の決め方で整理しています。
よくある質問
まとめ
バランスファンドが「いらない」と言われる理由は、信託報酬が株式インデックスより高いこと、期待リターンの低い債券にも同じ料率がかかること、そして値動きを抑えるだけなら現金比率の調整でも代用できることの3つでした。
一方で、値動きの幅は年率5年で9.54%と15.95%という明確な差があり、下落局面で積立をやめてしまうリスクを下げる効果は実在します。続けられない最適解より、続けられる次善の策のほうが残るという見方もできます。
まず確かめるべきは商品ではなく、自分の資産が3割下がったときの金額です。そこから逆算すると、バランス型か株式100%かは自然に絞り込めます。これから口座を開く段階なら、入口や申し込みの順番を間違えるとポイント還元で数千円から1万円以上の差がつくため、先にSBI証券で新NISAを始める完全ガイドで手順を確認しておくと無駄が少なくて済みます。
一緒に少しずつ学んでいきましょう。
