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この記事でわかること
- 口数指定・金額指定・全部売却の使い分け
- 金額を指定しても手取りがぴったりにならない仕組み
- NISAで翌年戻る枠が「売った金額」ではない理由
この記事の目次
車検代に20万円だけ必要になった、というように「投資信託を全部ではなく一部だけ売りたい」場面はいずれやってきます。ところが証券会社の売却画面を開くと、口数指定・金額指定・全部売却という3つのボタンが並んでいて、どれを押せばいいのか分からず手が止まる。私も同じところでつまずきました。
この記事では、3つの注文方法の違いと、金額指定でも手取りがぴったりにならない理由、そしてNISA口座で見落としやすい「戻る枠」の数え方を順番に整理します。
投資信託の注文から受渡までの全体の流れは、投資信託の買い方・売り方|注文から受渡までの流れにまとめています。
必要な金額が決まっているなら金額指定が使いやすい
「20万円必要」「学費に50万円」のように使い道の金額が先に決まっているなら、金額指定売却が素直な選び方です。口数指定は「何口売るか」を自分で計算する必要があるぶん、金額の見当をつけにくいためです。
一方で、保有をすべて手放すと決めているなら全部売却を選びます。金額指定で残高いっぱいの金額を入れると、値動きしだいでは注文が通らないことがあるためです。
口数指定と金額指定は何が違うのか
投資信託は「口数」という単位で保有します。基準価額は多くの場合1万口あたりの価格で表示されるため、たとえば基準価額15,000円の投信を30万口持っていれば、評価額はおよそ45万円という関係です。
口数指定はこの口数を直接指定して売る方法、金額指定は受け取りたい金額を指定して証券会社側に口数を計算してもらう方法です。両者の違いを並べると次のようになります。
| 項目 | 口数指定売却 | 金額指定売却 | 全部売却 |
|---|---|---|---|
| 指定するもの | 売る口数 | 受け取りたい金額 | 指定なし(全量) |
| 手取り金額 | 約定するまで確定しない | 指定額に近い金額 | 約定するまで確定しない |
| 向いている場面 | 口数を残す量で調整したいとき | 使う金額が決まっているとき | 保有をやめると決めたとき |
| 注意点 | 過不足が出やすい | 残高を超える指定はできない | 積立設定は別途停止が必要 |
出典:SBI証券・楽天証券の操作ガイドをもとに作成/2026年9月4日時点で公式サイトを確認
投資信託は株式と違って注文時に価格が分からない「ブラインド方式」で取引されます。当日の基準価額が決まるのは夜になってからなので、口数指定では売却代金が確定するのは翌日以降です。約定日と受渡日の数え方は投資信託の約定日はいつ?15時締切の数え方で解説しています。
金額を指定しても、その金額ちょうど受け取れるとは限らない
金額指定は便利ですが、指定した金額がそのまま銀行口座に届くわけではありません。ここが最初に誤解しやすい点です。
理由は2つあります。
1つ目は、利益が出ていれば税金が引かれることです。課税口座(特定口座・一般口座)では、売却益に対して20.315%が差し引かれた後の金額が手取りになります。20万円分を売って利益部分が5万円あれば、そこから約1万円が引かれる計算です。
2つ目は、信託財産留保額が差し引かれるファンドがあることです。解約時にファンドへ置いていくお金で、基準価額の0.1〜0.3%程度が設定されている商品があります。ゼロの商品も多いので、目論見書の「換金時の費用」欄で確認できます。
なお、売ったお金が使えるようになるまでには数営業日かかります。入金日の数え方は投資信託を売ったお金はいつ入る?受渡日の数え方にまとめています。
売却画面で一番迷ったのは「注文可能口数」の表示だった
私が売却画面を開いて戸惑ったのは、保有口数と注文可能口数の数字が一致していなかったことです。
調べてみると、買付の受渡が終わっていない分や、同じ日に別の注文を出している分は注文可能口数から除かれる仕組みでした。積立を設定していると、買付日の前後はこの差が出やすくなります。
つまり「全部売ったつもりが少し残った」という事態は、操作ミスではなく受渡のタイミングで起きることがあるわけです。全量を手放したいときに全部売却ボタンが用意されているのは、この計算を証券会社側に任せるためだと理解すると納得できました。
積立を続けたまま売却すると、売った直後にまた買い付けが走ります。保有をやめるなら積立設定の停止が先で、この順番はNISAの積立を止めたらどうなる?3つのやめ方でも触れています。
NISAで戻る枠は「売った金額」ではない
ここが一部売却で最も見落とされやすいところです。
NISA口座の非課税保有限度額1,800万円は、時価ではなく簿価(買ったときの金額)で管理されています。金融庁も「簿価残高方式」として、売却した商品の簿価の分だけ限度額が復活し、翌年以降に再利用できると説明しています(金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」・2026年9月4日時点で確認)。
たとえば100万円で買った投資信託が150万円に値上がりした状態で全部売ったとします。手元に入るのは150万円ですが、翌年戻ってくる枠は100万円です。差額の50万円は値上がり益なので、枠としては戻りません。
一部売却でも考え方は同じで、売った口数に対応する簿価の分だけが戻ります。金額指定で20万円売っても、その20万円がまるごと枠として復活するわけではないということです。
枠の数え方そのものはNISAの枠は値上がり分も使う?簿価で数える仕組み、復活の時期は新NISAは売ると枠が復活する?戻る時期と注意点で詳しく解説しています。
もうひとつ、NISA口座の売却では損益通算ができません。損失が出ている状態で売っても、他の利益と相殺して税金を取り戻すことはできない点は覚えておきたいところです。
一部売却の前に確認したいこと
- □ 必要な金額と使う時期がはっきりしているか
- □ 課税口座の場合、税金を引かれた後でも足りる金額を売るか
- □ 目論見書で信託財産留保額の有無を確認したか
- □ 積立を続けるのか止めるのかを決めたか
- □ 受渡日が支払期限に間に合うか
- □ NISAなら、戻る枠は簿価であることを理解しているか
- □ 全部売るのか一部だけかを、注文前に決めたか
よくある質問
まとめ
投資信託の一部売却は、使う金額が決まっているなら金額指定、保有をやめるなら全部売却、口数を細かく調整したいなら口数指定という整理になります。
そして手取りは指定額そのままではないこと、NISAで戻る枠は簿価であること。この2つを知っているだけで、売却後に「思っていたのと違う」となる場面はかなり減らせます。
次の一歩としては、自分の保有ファンドの目論見書を開いて、換金時の費用が書かれた欄を見てみるところからで十分です。売る予定がない今のうちに確認しておくと、必要になった日に慌てずに済みます。
まだ口座選びの段階という方は、入口や申し込みの順番によって受け取れる特典が変わることがあります。SBI証券で新NISAを始める完全ガイドで手順を整理しているので、そちらもあわせてどうぞ。
一緒に少しずつ学んでいきましょう。
